キミは許婚
それもそのはず、頂上でキスをしてからずっと聖の唇に翻弄されていたのだ。
押しのけようとしても聖の腕は「手放さない」と豪語していただけあって……解くことができなかった。
甘い温度に甘い香り。
柔らかい唇にあたしの口内を執拗に攻めてくる舌。
あたしの恐怖を全て奪い去ってくれた……。
「トラブル発生しまして大変申し訳ございませんでした~! では、足元に気をつけてお降りください~」
係員は平謝りをすると出口へ誘導してくれる。
砕けた腰に力を入れてなんとか立つと、まだ観覧車の中で座っている聖が腕を引っ張ってきた。