キミは許婚
「お、お客様……大変申し訳ないのですが……!」
困る係員。
それでもゆっくりと動き続ける観覧車。
「せっかくいいところだったのに。あともう一周あれば最後までいけた」
「さ、最後!? バカじゃないの!?」
駄々をこねる聖の手を勢いよく振り払うとあたしはそのまま観覧車を出た。
「あ、お客様!……って、か、上条聖!? そう言えばこれに乗ってるって誰か言ってたような……!」
去って行くあたしを見送り、残った聖の存在に気付いたお姉さんは色めき立った。