キミは許婚
「俺を目の前にしたらやりたくなるさ」
声をワントーン下げた聖。
電話越しに感じる息遣いが観覧車でのことを思い出させる。
「あぁ、それで本題に入るが……次はいつ会いたい?」
「え……あ、次? って会いたい? あたしが?」
聖は切り替えが早い。
あたしの火照る顔と発熱している脳をそのままに話を進める。
「明日は無理だが、明後日の夜なら時間がある。会ってやる」
「別に会いたいなんて言ってないんだけど!」
「俺が会ってやるって言ってるんだぞ」
「で……でもその日は……どうだったかなぁ……」
友達の少ないあたしに予定なんて入るはずがない。
でも即答でYESの返事をするのは負けた気がして焦らしてみる。