キミは許婚
「誰か……」
この身体を誰かに抱き締めてもらいたい。
そして遠慮なく泣きたい……。
優しく「大丈夫だよ」って言ってもらえたら……それだけで気持ちが落ち着く気がする。
でも母はダメだ。
母にとってあたしがその存在だから。
「誰があたしの側にいてくれるの……?」
哲太……?
違う。
電話をかければ必ず駆けつけてくれる、抱き締めてもくれるだろう。
でも違うんだ、今、側にいて欲しい人じゃない……。