キミは許婚
あたしが今、側にいて欲しいと思う人……
素直に抱きついて、不安を口にして、涙を受け止めてもらいたい人……
「聖……」
無意識に呟いてハッとする。
「ダメ……聖はもう……」
首を振って頭に浮かんだ聖の姿を消そうとするが、消えてくれない。
「やっぱり哲太だ……哲太に知らせよう。お隣だし……」
鞄から携帯を出して、哲太の番号を呼びだそうと思っているのに。
聖の名前が見えて……選択肢がそこで止まる。