キミは許婚


あたしが欲しかったのはこの腕とこの声とこの言葉……。


少しずつ不安の雲が晴れて……明るい日が差し込んでくるよ……。



泣きやんで気持ちが落ち着いてきても、まだ抱き締め続ける聖の腕の中、あたしは気になったことを聞いた。



「ねぇ……なんで聖はここがわかったの?」


「明からの電話が切れた後、すぐこっちにも佐原社長が倒れたという情報が入ってきた。

一応業務提携を結ぼうとした仲だからな。ただ今朝、佐原社長に断られたが」


「あ……お父さん、聖に対して怒ってたから……」



聖との業務提携の話も断ることにしたんだ……。
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