キミは許婚
あたしの言葉を聞いた聖は、腕の縛りを解くと大きくため息をついた。
「許婚も断られた。……原因はわかってる。明も怒ってるのか?」
「怒ってない……怒ってはないけど……」
怒ってはないけどショックだった。
言わないけど、そんなこと。
「俺の前では可愛い女でいろって言わなかったか?」
聖はあたしの強がりを見抜いているのか、ニヤリと笑って聞いてくる。
「もういいよ! 可愛くなったって……聖は……別の人のものでしょ?」
「本当に可愛くない……でも、俺はその可愛くない明だけのものなんだ」
「え……あたし!?」
じゃぁ……あの女の人は何!?