キミは許婚


「たぶん明も佐原社長も週刊誌のことで俺に不信感を持ってるだろ? でもあれは俺も知らなかったんだ。

木曜日にサンプルで見せてもらった写真には明とのツーショットが載っていた。

それが発売日の今日には差し替えられていた。たぶん……あの女の仕業だな」



あの女……きっと一緒に写っていた合併会社の社長の娘。


あたしよりずっと大人っぽくて上品な雰囲気だった。



聖とはお似合いだったよ……。



「でもなんでその人の仕業だって思うの? 出版社が勝手に差し替えたんじゃないの?」


「それは……」


「社長、お迎えにあがりました」



聖が理由を話そうとした声へ被せるように、涼やかで冷静な声が聞こえてきた。

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