キミは許婚


その腕を解いたのは聖ではなく柚野さん。


聖とあたしの腕の間に割って入ってきた。



「……明様、これ以上副社長はここにいる訳にいきませんので」


「だって副社長っておかしいよ! 聖が社長でしょ? 上条不動産の! 

今日の株主総会で……そうなったんじゃないの!?」


「えぇ……総会を途中で抜け出した後、上条聖の降格が決まったんです」



総会を途中で抜け出したの……?


大事な総会で……皆に認めてもらうって言ってたのに……?


やっぱり……あたしが電話かけた時は総会中だった……?



「あたしの……せいだ……あたしが電話なんかかけたから……」


「明! そうじゃない! 明が悪いんじゃない」



聖は間にいた柚野さんを押しのけると、あたしの両肩を掴んで言い聞かせるように言ってくれた。


でも隣に立ってる柚野さんは……お前のせいだ……っていう目をしているよ。

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