キミは許婚


どうしよう……でもどうしていいかわからないよ。


父に頼りたくてもまだ意識戻ってないし……

戻ってからお願いしても、あれだけ怒ってたから……聞いてくれるかどうか……。


呆然としながら必死に頭の中で考えていると、聖があたしの両頬を大きな両手で挟んできた。



「お前のせいじゃない。総会にいるか、明の側に行くか、判断したのは俺だ。

本当は惚れた女より、仕事を優先できなきゃいけないんだけど……しばらく俺は、そうなれそうにない。

社長としてお前を迎えに行くって約束したのに……守れなくて悪い」



自分自身を情けないと思っているのか、聖は眉をしかめて辛そうに笑った。


聖に似合わない表情だった。


あたしは……聖にそんな顔をさせちゃうような女なんだよ?


なんでそんなにあたしのことを想ってくれるの……?
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