キミは許婚
あたしはドアが開いても、エレベーター内から出ることができなかった。
「ショックを受けてたって……じゃぁあの女性は聖のことを好きだったってことですか?」
「恐らく好き……とは少し違いますね。彼女は男をブランドもののように思っていたので。
合併先の令嬢と結婚、なんて話よくありますよね? それを想像していたんじゃないでしょうか。
何もしなくても、今話題の社長が手に入る……なんて」
あたしも自分が許婚なんかより、合併会社の令嬢が許婚の方が正しいんじゃないかって思ってたもんね……。
思わず納得してしまう。
そして、柚野さんに軽く手を引かれてエレベーターから出た。