キミは許婚
「そうだよ……でも、お父さんが勘違いしてるだけ。聖は……ハメられたんだよ」
「ハメられた……?」
そしてあたしは柚野さんから聞いたこと、全てを話した。
父は落ち着いて聞いてくれたが、
「そうは言っても社長の座から降ろされた……それは上条聖くん自身の失態だな。やはり明をやるわけにはいかん」
「き……厳しいよ……お父さん」
ベッドの上で腕組をしている父。
上場企業の社長っていうのはこうも自分にも他人にも厳しいものなの?
泣きたい気持ち半分、呆れた気持ち半分でため息をついていると、父が尻目にあたしを見てきた。