キミは許婚


「だが……副社長という立場から再び、社長になれれば素晴らしい」


「お……お父さん!?」



ため息をつきながら俯いていた顔をパッと上げる。


その様子を見た父は、あたしに過剰な期待を持たせないように釘をさしてきた。



「だがな、社長に戻るなんて難しいんだぞ? 余程のことがない限り……」


「わかってるって! でも聖……社長になるって言ったから……あたしは信じてる」



聖なら、きっとまたあたしを迎えに来てくれる。


信じていれば、聖はそれを力に変えて頑張ってくれるはずだから。



「全く……明はいつの間にそれほど聖くんを好きになったんだ……?」


「あ……そ、それは……」



自分でも気付かないうちにどんどん惹かれていった。


一緒にいる時間とか、デートの回数とかじゃない。



聖という人間に、猛スピードで惹かれてしまったんだ。

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