キミは許婚
家に帰る車の中であたしは携帯電話を手に取った。
聖に連絡をしておこう。
きっとあたしから言わなくても、聖の耳に父の退院の知らせは届くと思う。
でもやっぱりあたしから知らせたい。
それにあの日、聖の姿を見送ってから連絡を一切とっていなかった。
こっちから連絡をとるきっかけも欲しかったから丁度良かった。
携帯を開いてメールを作成していると、隣に座っていた父が顔をあたしに向けた。
「明、聖くんに連絡をとるつもりならヤメておけ」
「え……なんで……?」
あたしの指が送信ボタンの手前で止まる。