キミは許婚
あたしが無言のままでいると柚野さんは軽く息を吐いた。
「聖は可能なことしか手を出しません」
「……じゃぁ!」
じゃぁ聖が
「社長に戻る」
って決意したのは可能なことだからじゃないの!?
パァッと目の前が明るくなったと思ったのに……
「しかし聖にも誤算はありますからね。過剰な期待はしませんよう」
そう言って柚野さんはまた光を遮った。
そしてそのまま
「ではお体に気を付けてください。失礼致します」
と丁寧に挨拶をして電話を切った。