キミは許婚
今夜はメールを送らずに眠ろう。
朝起きればまた携帯を覗いてしまうかもしれない。
でもメールを送らないところから始めて……少しずつ……聖がいなかった自分に戻ろう。
大丈夫、きっと簡単なはず。
用意された朝ごはんを三分の一程度しか手を付けることができず、残すと母が心配そうな顔をした。
「明……元気ないわねぇ……前ならこんなのペロリと食べてたじゃない?」
「そうだっけ? 最近小食になったみたい」
「じゃぁ今晩は作りすぎないようにしないと!」
「…………いってきます」
今晩? 何のこと?
と思ったけれど、突っ込んでまた気遣われるのが嫌で、あたしは母から逃れるように家を出た。