キミは許婚
やたらと重たい玄関を開けてだだっ広い庭を抜ける。
侵入者を拒むようにそびえ立った鉄格子の門を、テンションの上がらない気持ちのまま開けて外へ出ると、声をかけられた。
「明! 何、朝からしょげてんだよ!」
「…………哲太……」
そこにいたのは朝日と共に眩しくあたしを迎えてくれているお隣の哲太だった。
塀に持たれたままの態勢を見ると、偶然時間が一緒になった……というより、あたしを待っていた、の方が正しい気がした。