キミは許婚


父は聖の真意を汲み取ったのか、それとも聞かないことにしたのか、聖の笑みに顎をさすりながら頷いた。



「そうだな。返り咲きの話を認めると、今の社長が聖くんに劣ることとなる。

現社長の顔を立てたな……うまくかわそうとするもんだな、聖くんは」


「言いましたよね、私は完璧な男だと」



黒い笑みがより一層輝く。



「……気に食わん。が、前より好きになった」


「光栄です。しかしこれからもっと私のことを好きになりますよ」



……まさか、

まさか父にまでそんなこと言っちゃうとは。
< 432 / 533 >

この作品をシェア

pagetop