キミは許婚
父は聖の真意を汲み取ったのか、それとも聞かないことにしたのか、聖の笑みに顎をさすりながら頷いた。
「そうだな。返り咲きの話を認めると、今の社長が聖くんに劣ることとなる。
現社長の顔を立てたな……うまくかわそうとするもんだな、聖くんは」
「言いましたよね、私は完璧な男だと」
黒い笑みがより一層輝く。
「……気に食わん。が、前より好きになった」
「光栄です。しかしこれからもっと私のことを好きになりますよ」
……まさか、
まさか父にまでそんなこと言っちゃうとは。