キミは許婚

頬を両手で包むとやっぱり、熱でもあるんじゃないかと思うほど。


今あたしの顔、鏡で見たらきっと赤くなってるよ。


両手で顔を抑える、そんなあたしに聖が視線を送ってくる。



「……何よ」



睨んでいるかのように見返すと聖は笑みを浮かべた。



笑みと言ってもキラキラ輝くような、爽やかな微笑みじゃない。


何か企んでる？　と疑いたくなる聖が得意とする黒い笑み。


……あぁ、聖だけじゃなくて柚野さんも得意としている笑みだ。



「明もまだまだ、俺のこと好きになるよ」



……また予言!?


恥ずかしいから口にしたくないけど……もう聖のこと、これ以上ないってくらい好きなんだよ。



それなのにまだまだ好きになるってこと？