キミは許婚


あたしを真顔でじっと見つめると、聖はゆっくり立ち上がった。



「すみませんが、このお料理はまたお伺いしてごちそうになります」


「ひ、聖? どうしたの?」



慌てるあたしをそのままに、聖は父と母に深く礼をした。



「明に、俺と明が出会った全てを教えてやらなきゃならないんで。二人で話をさせてください」


「へ!?」



……全部って……その全部!?



あたしはてっきり男女の……って何考えてるんだか、あたし!



火照った身体が次第に落ち着いていく。
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