キミは許婚


雰囲気が変わり、激しく打ち返す心臓が痛いくらいだ。



「聖、夜景が……」



心臓の落ち着きを取り戻そうと、無理矢理見えなくなった夜景を気にしてみるけど……



「夜景より俺を見ろ」



覆いかぶさってきた聖に、一気に目を奪われてしまう。



はだけたシャツの胸元から、自分とは全く違う逞しい胸板が見えた。



見ろ、なんて言われなくても……見ちゃうよ。



照明が映り込んだ聖の瞳が、妖しい光を放ちながらあたしを見つめてくる。



より速く、大きくなる心臓の音。


絶対聖に聞こえてると思う。

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