キミは許婚
「聖!?」
あたしは聖を責め立てるけど、全く焦る様子なく、やっと口を開いた。
「婚約指輪」
「え?」
「それ、婚約指輪って言ってんだろ。俺が選んだ」
「聖……」
忙しかったはずなのに、連絡する間も無かったはずなのに……ちゃんと選んで、用意してくれていたなんて……。
「こう見えて指輪なんて女にやるのは初めてなんだ。俺の初めて有難く受け取れ」
「聖の初めて……」
「オチた女にしかやらないって決めてた……お前にだけ、オチてやるよ」
「聖……すごく嬉しい……」
許婚と言われて、聖のことを好きになった時から、頭の中に結婚の二文字はあった。
でもこうやって形となって近づくと……感慨深いものが胸に溢れる。