キミは許婚


「聖!?」



あたしは聖を責め立てるけど、全く焦る様子なく、やっと口を開いた。



「婚約指輪」


「え?」


「それ、婚約指輪って言ってんだろ。俺が選んだ」


「聖……」



忙しかったはずなのに、連絡する間も無かったはずなのに……ちゃんと選んで、用意してくれていたなんて……。



「こう見えて指輪なんて女にやるのは初めてなんだ。俺の初めて有難く受け取れ」


「聖の初めて……」


「オチた女にしかやらないって決めてた……お前にだけ、オチてやるよ」


「聖……すごく嬉しい……」



許婚と言われて、聖のことを好きになった時から、頭の中に結婚の二文字はあった。


でもこうやって形となって近づくと……感慨深いものが胸に溢れる。
< 512 / 533 >

この作品をシェア

pagetop