キミは許婚


薬指にはめられた指輪が愛おしくて、あたしへの聖の想いが形になっているようで、何度も指輪をなぞった。



聖はそんなあたしの腕をグッと掴んで強く引き寄せた。


そして吸いこまれそうな瞳であたしを熱く見詰めてくる。



「明、俺と結婚しろ」



……しろ?


しろって……


普通は「してください」じゃないの?



……でも、すごく聖らしい。



「はい」



嬉し涙の準備ができていたのに、いつの間にか笑顔に変わっちゃったよ。


あたしの笑顔を見た聖は、顔を近づけてきて


「明、絶対幸せにしてやる」


と、優しく誓いのキスをくれた。

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