キミは許婚
素が氷点下なんて恐い。
ていうか素が好かれるものじゃないって思ってるんだ。
……それはちょっと寂しいような気もするけど……。
「でも聖と明さまを見ていて……私も結婚する相手なら、気兼ねなく素でいられる相手がいいと思いましたよ。
まぁ耐えられる女性は数少ないと思いますが」
眼鏡の奥の瞳を光らせながら笑う。
柚野さんが作りだすマイナス世界に耐えられるのって……北極熊くらいじゃないかな。
「何はともあれ、おめでとうございます」
深くお礼をしてくれた柚野さんは、とても柔らかく微笑んでくれた。
こういう笑顔もできるから……きっと北極熊だけじゃなくて、良い人も見つかると思うんだ。