キミは許婚


父からするりと腕を解き、聖の腕をとる。



「娘を……明を頼むよ」


「言われなくとも」



聖は優しげな笑みから不敵な笑みに変えて父と見つめあった。



父はその様子に声を出して笑い


「心配ないな」


と、何度も頷いた。



外国人の神父さんに向き直ると、神父さんが片言で喋り出した。


あたしはその言葉よりも、聖のタキシード姿が気になってチラリと横を見た。
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