キミは許婚


聖に気付かれないよう、盗み見たはずなのに……


聖と目が合う。



「明、綺麗」


「ひ……聖も、キ、キマッてる。か、かっこいいよ!」



照れくさくってうまく言えない。


小声でお互いを褒め合っていると神父さんが咳払いをして、あたし達を注意した。


あたし達二人は肩をすくめながら笑いあって、参列席からも笑いが起こった。


神父さんもにこやかに笑いながら、誓いの言葉を続ける。



「新郎、聖。健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、

これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、

真心を尽くすことを誓いますか?」


「はい、誓います」



聖の凛とした声が、青空に響く。


形式的に分かっている言葉だけど……胸にジーンと沁み渡るよ。

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