キミは許婚


『あと、暗い顔した社長の下で仕事なんかしたくない、とも言われてしまいました。

きっと彼女は一目見て僕の心を読み取ったんでしょうね』



そして聖は、その娘の言葉で気持ちが入れ替わり、悲しみにくれるばかりではなく、

会社や社員のことを考え、しっかりとした社長になろうと思ったらしい。



気持ちを入れ替えることができた聖、そして業績を伸ばした聖はすごいと思う。




……ただ、ちょっと……。




「明? 固まってどうしたんだよ?」


「あ……ううん、ちょっと……何かが引っかかって……」


「引っかかって? まさか明、本当に……」



哲太は最後まで言葉を続けなかったけど覗きこんでくる瞳が問いただしてくる。
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