キミは許婚


確かに父が社長を務めている佐原家具店は大手企業で、

上条不動産とも前から取引があったから挨拶に来たっておかしくないけど……。



「ま、まさか!! 違うよ、そんなわけないじゃん!! 記憶ないんだよ?」



顔の前で大袈裟に手を振ってみせる。



そう、記憶がない。


……でも……聖の言葉が引っかかった。



「あ、あたし帰るね! ご飯、ごちそうさま!!」



あたしは慌てて哲太の家を飛び出した。



確かめなきゃ!!


お父さんならわかるはずっ!!
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