水《短》




港はやはり、寂しいものだった。

ひとりの老いた猟師が、海水を含みずっしりと重くなった網を担ぎ、片足を引きずるようにして私の前を横切る。


それを目で追いつつ足を村のほうに向ければ、いくつか人を見つけた。


だれもが皆、ぎらぎらと目だけを輝かせ、何かを恐れるように腰をまげている。

セピア色に溶け込んでしまいそうな、時代に取り残された小さな景色を、真夏の太陽が容赦なく照らしている。


村人の殆どが高齢者の、寂れた村。




私の、ふるさと。



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