勝利の女神様?!
しばしの沈黙が走る…とはいえ、周りはうるさ過ぎる程に忙しく生徒たちがとおり過ぎていく…
 
逆に言えば今、俺たちは目立っているはずだ。
 
その証拠に他の生徒たちは俺たちに興味の視線を投げながら行き過ぎている。
 
しかし、野次馬根性を見せるほどの生徒は誰ひとりいなかった…
 
俺はなぜか不思議に思った。
 
普通ならこの状況に興味を持たないわけではないはず…
 
もっと興味を持って皆が群がりよってくる…なんてことがあってもいいのでは…と俺は訝りつつ…
 
「どうなのよ!」
 
なにも話さなくなった俺に痺れを切らした彼女が怒鳴ることで、俺は我に帰った。
 
「あ、あぁ…」
 
それでもまだしどろもどろだ。
 
「あんた、聞いてる…?」
 
彼女からの怪訝な声色。
 
しかめっつらをしながら彼女は俺の顔を覗きこもうとしている。
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