―ユージェニクス―
‖黒川邸突入編
―1―
「……はぁぁぁ」
「どうしたの茉梨亜、盛大に溜め息なんか衝いて」
「わっ咲眞!もーいきなり現れないでよ」
「ふふ、なーんか思い詰めてるねぇ」
「そんな事……ない、けど」
「拜早の事でしょ?」
「へ!!?」
「あ、図星?当てちゃった〜」
「さっ咲眞、今の適当に言ったの!?ずるい!!!」
「茉梨亜ったら分かり易いなぁ…」
「〜〜!!」
「……確かに今のはカマ掛けたけど、茉梨亜の気持ちは知ってるよ」
「え…」
「好きなんでしょ?」
「な……なんでそう笑顔で言うかな」
「あはは」
「……」
「僕も好きだよ、拜早」
「咲眞…それ本気か嘘か分かんない」
「本気」
「また笑って言う…」
「ははは」
「もし本気ならあたし困っちゃうよ!?だって、だって…!!」
「大丈夫、茉梨亜の事も本気だから」
「そ、それならいいんだけど…」
「(いいんだ…)」
「………」
「拜早は手強いよ?色んな意味で」
「わ、分かってるもん」
「でも茉梨亜、なんだかんだで結構告白してるよね?この前なんか「結婚して!」とか叫んでたし…」
「そっそれは冗談で……でも…じょ、冗談でもなかったり…して……」
「分かってる」
「〜〜ッ」
「拜早、あたしの言ってる事本気にしてないよね……一応、嘘じゃないんだけどな」
「真面目に言ったらいいのに」
「そっそれは………」
「駄目?」
「う……ん、ま…まだ……」
「まったく…早く言わないと僕がとっちゃうよ?」
「ええ!?それは駄目!!やだやだ!!」
「あー……茉梨亜はやっぱり可愛いな」
「へ?そ、そう…?」
「……」
「さ…咲眞?」
「(…ほんとにとりたくなってきたな)」
「?」
「茉梨亜、自分のペースで良いんだよ?慌てなくたって拜早は逃げたりしないからさ」
「そっ…そうだよね…」
「うんうん」
「うん……ありがと、咲眞!」
「どーいたしまして」