―ユージェニクス―
『分かった、すぐに向かおう』
西塔に居たスーツの男二人に、無線を通して娘二人組を探す指示を出した。
「これで蓋尻さんが追い付けば一件落着ですね」
「そうだな」
警備室も一段落着く…
と…
「ぅおッ!!」
「?!!」
「ぐふゥ!!」
「………」
突然だった。
何かが首筋に当たった気がして、そのまま身体は倒れる。
一瞬のうち、三人の警備員は皆昏倒させられた。
警備室扉横に置いてあった宅配の段ボール………
空だ。
何かが中から出た形跡がある。
…少年の様な人影が、いつの間にか警備室に現れていた。
「あー…きつかった」
そう言って、段ボールの中にいた「彼」は警備員に当てた手刀を怪訝そうにしながら戻す。
黒のスポーツキャップを目深に被った少年がそこにいた。
「精鋭に連絡されたけど…大丈夫かあいつ、とにかくカメラの電源を……」
モニター群には数々のボタンやらスイッチがある。
帽子の少年は指先で目当てのスイッチを探しだし、手際良くオフにした。
パタパタと廊下を歩く音。
二人の娘達が豪華な大理石のそこにいる。
一人はショートの黄土色の髪、パンツスタイルを可愛らしく着こなし、一人はロングの茶髪にAラインスカート。
「ぅ〜んやっぱり凄いねっ黒川邸はぁ」
あずさはきょろきょろと辺りを見ながら、持っていたデザインの凝った紙袋を揺らした。
壁際にはインテリア調の蝋燭を模したランプが均一な間隔で明かりを点していて、浮かび上がる部屋の扉は皆美しい。
美しい程、屋敷と黒川という人間は相違だ、なんて思うが。
「でもやっぱりどの部屋も鍵が掛かってるねぇ〜セキュリティかな??」
「…」
「…ねっねっ次は向こう行ってみようよぅ!」
「あ…あずさ、さん」
異様にはしゃぐあずさを、初めて美織は呼び止めた。
癖っ毛の茶髪がふわふわしている。
「あっ“あずさ”でいぃよっ!年近いんだし、あずさサンって言いにくいでしょー」
相変わらずあずさはマイペースだ。
西塔に居たスーツの男二人に、無線を通して娘二人組を探す指示を出した。
「これで蓋尻さんが追い付けば一件落着ですね」
「そうだな」
警備室も一段落着く…
と…
「ぅおッ!!」
「?!!」
「ぐふゥ!!」
「………」
突然だった。
何かが首筋に当たった気がして、そのまま身体は倒れる。
一瞬のうち、三人の警備員は皆昏倒させられた。
警備室扉横に置いてあった宅配の段ボール………
空だ。
何かが中から出た形跡がある。
…少年の様な人影が、いつの間にか警備室に現れていた。
「あー…きつかった」
そう言って、段ボールの中にいた「彼」は警備員に当てた手刀を怪訝そうにしながら戻す。
黒のスポーツキャップを目深に被った少年がそこにいた。
「精鋭に連絡されたけど…大丈夫かあいつ、とにかくカメラの電源を……」
モニター群には数々のボタンやらスイッチがある。
帽子の少年は指先で目当てのスイッチを探しだし、手際良くオフにした。
パタパタと廊下を歩く音。
二人の娘達が豪華な大理石のそこにいる。
一人はショートの黄土色の髪、パンツスタイルを可愛らしく着こなし、一人はロングの茶髪にAラインスカート。
「ぅ〜んやっぱり凄いねっ黒川邸はぁ」
あずさはきょろきょろと辺りを見ながら、持っていたデザインの凝った紙袋を揺らした。
壁際にはインテリア調の蝋燭を模したランプが均一な間隔で明かりを点していて、浮かび上がる部屋の扉は皆美しい。
美しい程、屋敷と黒川という人間は相違だ、なんて思うが。
「でもやっぱりどの部屋も鍵が掛かってるねぇ〜セキュリティかな??」
「…」
「…ねっねっ次は向こう行ってみようよぅ!」
「あ…あずさ、さん」
異様にはしゃぐあずさを、初めて美織は呼び止めた。
癖っ毛の茶髪がふわふわしている。
「あっ“あずさ”でいぃよっ!年近いんだし、あずさサンって言いにくいでしょー」
相変わらずあずさはマイペースだ。