―ユージェニクス―
「面白い事?」
咲眞が疑問符を浮かべると、立っていた女子が小さな白い布を持ち出す。

「あんたが動けない間、あんたを精鋭の魅力的なエモノにしてあげる」

何する気だ、と内心悪態をつき、
「それ、布に睡眠薬でも染み込ませてるの?」
少し笑って女子を見る。
仁王立ちの裸の女子を見上げるのはいい気がしないが…

「ちょっと違うわ、コレは意識が朦朧とするだけ。起きたまま抵抗出来ず色んなコトをされるのよ」
「へぇ…」

ニヤリと咲眞は笑い、そんなのを嗅がされてたまるかと肩に乗せられた腕を無視して起き上がりに掛かった。
「!」

俯せられた左肩を下方に引き右肩を素早く手前に回し入れ仰向けになるよう身体を捻ると、女子の両手は弾かれて離れる。
その辺の女子の腕力よりは咲眞の身体の方が強い。
「きゃッ」
そのまま上半身を起き上がらせた咲眞は今度は逆に女子の肩を掴み後ろへ押し倒す。
はっとして女子達の動きが止まった。
「…いい体勢だね」

もしこの場に居たのが拜早なら上手く女子達を気を失わせたり出来ただろうが、咲眞にそんな体術のスキルはない。

(あ、でも拜早の場合、すっ裸のこの人達を直視出来なさそうだなぁ…純だし)

真顔でそんな事を考えながらも、押し倒した女子を見据える。
女子は咲眞の動きに驚いて、目を丸くしていた。


< 139 / 361 >

この作品をシェア

pagetop