―ユージェニクス―
「どういった情報ですか、それは」
『それを警察や日堀大臣に確認して頂き、買い取って頂こうかと…』
「……失礼、仰っている意味が解りかねるのですが…」
と、日掘が口を衝いたところでまた電話のベル。
この部屋には電話回線が二本引いてある為、空いていた黒電話が鳴り響く。
これは秘書が取った。
「は、はい、こちら……」
日堀は電話口のマスコミスタッフへ続ける。
「買え、ですと?それ程の内容なのでしょうね」
『…新法案に関連して、取り締まるべきであると考えた内容です。それで…わたくし共は今、スラムにおりまして』
「なんですと?例えマスコミとはいえ保護地区に立ち入る事は……」
「せ、先生」
秘書が青ざめた顔で呼んだので、日堀は何とも言えない表情になりながら秘書を見やる。
「…今度は何です?」
「け、警視庁の方からお電話が……」
日堀は目を見開いた。
何なんだ、今日は……
――午後一時過ぎ、同所。
マスコミと警察、そして秘書の受けた電話……
日堀は一通り話を飲み込んだ後、酷く思案してから秘書に告げた。
「由井さん、今日の予定、午後八時まで全てキャンセルしてください」
「え?は、はい…」
「それからこのメモ。汚くて申し訳ないですが、打ち直してプリントしてください」
秘書は日堀が思案しながら殴り書いた用紙を数枚手渡される。
「それが出来たら新法案と保護地区のスケジュールを添えて観崎さんにご挨拶してきます」
「え…先生、観崎先生へのあの報告は、木戸田取締から行くはずでは…」
「その話のアポはまだ木戸田君が取っていないらしいから問題ありません。木戸田君本人には今から私が話をつけてきます」
日堀は扉の前に設置された姿見の前で素早くスーツを整えた。
「それから警視庁にも行ってきますから、あちらからまた連絡があればそう伝えておいて」
「は、はい……」
秘書は唖然としながらも、気を持ち直して仕事に取り掛かる。
「…今日は忙しくなるな」
日堀は苦笑の中、どこかやり甲斐のある思いの瞳を宿していた。
『それを警察や日堀大臣に確認して頂き、買い取って頂こうかと…』
「……失礼、仰っている意味が解りかねるのですが…」
と、日掘が口を衝いたところでまた電話のベル。
この部屋には電話回線が二本引いてある為、空いていた黒電話が鳴り響く。
これは秘書が取った。
「は、はい、こちら……」
日堀は電話口のマスコミスタッフへ続ける。
「買え、ですと?それ程の内容なのでしょうね」
『…新法案に関連して、取り締まるべきであると考えた内容です。それで…わたくし共は今、スラムにおりまして』
「なんですと?例えマスコミとはいえ保護地区に立ち入る事は……」
「せ、先生」
秘書が青ざめた顔で呼んだので、日堀は何とも言えない表情になりながら秘書を見やる。
「…今度は何です?」
「け、警視庁の方からお電話が……」
日堀は目を見開いた。
何なんだ、今日は……
――午後一時過ぎ、同所。
マスコミと警察、そして秘書の受けた電話……
日堀は一通り話を飲み込んだ後、酷く思案してから秘書に告げた。
「由井さん、今日の予定、午後八時まで全てキャンセルしてください」
「え?は、はい…」
「それからこのメモ。汚くて申し訳ないですが、打ち直してプリントしてください」
秘書は日堀が思案しながら殴り書いた用紙を数枚手渡される。
「それが出来たら新法案と保護地区のスケジュールを添えて観崎さんにご挨拶してきます」
「え…先生、観崎先生へのあの報告は、木戸田取締から行くはずでは…」
「その話のアポはまだ木戸田君が取っていないらしいから問題ありません。木戸田君本人には今から私が話をつけてきます」
日堀は扉の前に設置された姿見の前で素早くスーツを整えた。
「それから警視庁にも行ってきますから、あちらからまた連絡があればそう伝えておいて」
「は、はい……」
秘書は唖然としながらも、気を持ち直して仕事に取り掛かる。
「…今日は忙しくなるな」
日堀は苦笑の中、どこかやり甲斐のある思いの瞳を宿していた。