―ユージェニクス―
棗は事務的な目付きで管原を見たが、管原は知った風な顔をしなかった。
「棗、それを俺に説教してもだな、俺は拜早を放すのと確保には関与してないぞ……俺がやってんのはデータ収集」
「分かってるわよ。けど上から通達が来たの、どうなってるんだって」
「どうもこうもまんまだろーが、ミスしたのは再度洗脳してないにも関わらず放った下の奴らだろ?」
嘲笑うかの様に、管原はカルテにペンを走らせる。
「あのね、さっさとデータ採って洗脳かけ直してなかったあんた達の班も責任があるのよ」
「うぅわ、上はそうやってくるわけね」
棗はきっぱり言ったつもりだが、管原はそれでもおどけた様子。
「あんたには何言ってもかわされそうね……」
「お褒めに預かりまして」
「褒めてないわよヒゲ。とにかく、上が処理を決めるそうよ。拜早君をどうするか、被害者の女の子をどうするか」
棗のさり気ない一言で管原は心に痛みを受けつつ、伸びた顎髭を触りながら思案した。
「まぁ…まがりなりにも白の怪物を一般人の前で捕まえちまったからな。また放したら“茉梨亜”が不審に思う…か。まさか民間人も白の怪物が研究所の差し金とは思ってもねーだろーし」
クククと管原は喉で笑った後、棗に気だるそうに振り向いた。
「でもどっちつかずじゃね?」
「私もそう思うわ。流石に今時口封じとか言って人殺しまでは研究所もしないでしょうけど、とにかく結論はあなたの班にも送られるはずよ…私は被害者が茉梨亜ちゃんだとか、そんな報告はしないけどね」
「その方が面倒にならんだろ。ま、いずれ俺のとこには誰か来るだろな…被害者診た医者だし」
「報告と質問は以上よ。弾、あなたも気をつける事ね」
「何を」
「処分よ」
棗の単語に目が点になる管原。
「部下の責任は上司の責任」
「そぉんな事より棗ちゃーんどぉ?これから一杯」
何もかも聞かなかったかの様に管原は事務机から飛び出して棗を誘う。
「真っ昼間に仕事中の女を誘う奴がどこにいるのよ……」
「俺様」
TRRR……
その時電子コール音が診療室に鳴った。
「棗、それを俺に説教してもだな、俺は拜早を放すのと確保には関与してないぞ……俺がやってんのはデータ収集」
「分かってるわよ。けど上から通達が来たの、どうなってるんだって」
「どうもこうもまんまだろーが、ミスしたのは再度洗脳してないにも関わらず放った下の奴らだろ?」
嘲笑うかの様に、管原はカルテにペンを走らせる。
「あのね、さっさとデータ採って洗脳かけ直してなかったあんた達の班も責任があるのよ」
「うぅわ、上はそうやってくるわけね」
棗はきっぱり言ったつもりだが、管原はそれでもおどけた様子。
「あんたには何言ってもかわされそうね……」
「お褒めに預かりまして」
「褒めてないわよヒゲ。とにかく、上が処理を決めるそうよ。拜早君をどうするか、被害者の女の子をどうするか」
棗のさり気ない一言で管原は心に痛みを受けつつ、伸びた顎髭を触りながら思案した。
「まぁ…まがりなりにも白の怪物を一般人の前で捕まえちまったからな。また放したら“茉梨亜”が不審に思う…か。まさか民間人も白の怪物が研究所の差し金とは思ってもねーだろーし」
クククと管原は喉で笑った後、棗に気だるそうに振り向いた。
「でもどっちつかずじゃね?」
「私もそう思うわ。流石に今時口封じとか言って人殺しまでは研究所もしないでしょうけど、とにかく結論はあなたの班にも送られるはずよ…私は被害者が茉梨亜ちゃんだとか、そんな報告はしないけどね」
「その方が面倒にならんだろ。ま、いずれ俺のとこには誰か来るだろな…被害者診た医者だし」
「報告と質問は以上よ。弾、あなたも気をつける事ね」
「何を」
「処分よ」
棗の単語に目が点になる管原。
「部下の責任は上司の責任」
「そぉんな事より棗ちゃーんどぉ?これから一杯」
何もかも聞かなかったかの様に管原は事務机から飛び出して棗を誘う。
「真っ昼間に仕事中の女を誘う奴がどこにいるのよ……」
「俺様」
TRRR……
その時電子コール音が診療室に鳴った。