―ユージェニクス―
「電話よ…」
管原の態度に頭を抱えながら棗は隅の電話を指差す。

「誰だよいーところで…」
「(どこがよ)」

管原は受話器を取ると軽々しく応対した。

「ハイハイこちらBブロック管原邸、どーぞ」




暫く話した後、電話が終わった管原は落ち着いた顔立ちに戻っていた。

「わりぃ棗、班長から呼び出し来た」

「そう、調度良いし私も一緒に戻るわ」

言って、棗は足元に置いていた書類鞄を手に取る。

「ねぇ弾…被害者の女の子、本当に茉梨亜ちゃんだったの?」

「俺が嘘付いたことあるか?」

「……嘘っていうか、何でも分かってそうな節があるのだけど」

背の高い管原を見上げる棗に、管原は軽く笑って自分も準備を仕出した。

「それは買い被りすぎ。俺は自分の見た限りで把握してるまでだ」

そう言って、管原が少し自嘲気味な顔をした様に棗は思えたが触れずに、
「把握してる事を話してくれないから不便なのよねぇ」
とだけ呟いた。














「う…ぅうん」

目を覚ますと、調度窓から暑い太陽光が入ってきていた。


「真っ昼間かぁ……そろそろ出掛けようかなっお腹の減りもやばいし」

茉梨亜は身軽に起き上がって、乱れた髪を直しに洗面所へ向かった。



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