―ユージェニクス―
「茉梨亜」
そしてその表情のまま茉梨亜を見やる。
「なっなに?」
まだ茉梨亜は今の話題に恥ずかしさを残していたが、拜早にも見られたので更に顔を火照らせる。
「おかえり」
その言葉は、二人同時だった。
「案外早かったな」
「もっと来るの渋ると思ってたのにね〜」
拜早はいつものぶっきらぼうな顔で、咲眞は楽しそうに微笑む。
「えっ?あ……」
それでからかわれているのだと気付いた。
「だ、だって……!!」
「黒川邸ではあんなにねぇ?」
「拒否ってたのにな」
「そっそれは……!!」
揚げ足を取られまくっている。
茉梨亜は恥ずかしさで赤面が止まらなかったが、それでも……有り難さを感じていた。
「だって……会いたかったんだもん!」
「はいはい」
「勝手だなぁおまえ」
「か……っ勝手だもん!!」
もう弁解とか言い訳とかいい。
思ったままを大声で言った。
「茉梨亜……」
そして。
二人に凄く笑われた。
「わ…笑いすぎ!!」
「茉梨亜…罪作りだよ〜〜」
「元気だなおまえは」
――なんで二人はこんな自分勝手なあたしを、受け入れてくれるのだろう。
「なんで……?」
ん?と二人の目線が茉梨亜に留まる。
「なんで拜早も咲眞も、あたしを許してくれたの?」