―ユージェニクス―

―1―








――夢を


   見ている。











無駄に豪華さを押し出した、白いベッドの上。

そこにだらしなく倒れていた。

喘いだ後だから酷く疲れている。


そう、確か“疲れていた”。


これは過去の事。

感覚なんてそんなに覚えていない。


ただ気分は悪かった。

この場所で気分が良かった事なんてなかったけど。


「あーあ、もう使い物にならなくなっちゃったわ…逞しくないのねぇ、どうするのよ高城!」

紫の頭が見下ろしている。
峯、だ。


「ネ、こいつらあの研究所に売っちゃっタら?」

高城の姿は自分の視野の中に無い。

頭を上げる気力もない。

果てた体は人形の様。

「いいわねそれ!高く買い取ってくれるかも」



意識は朦朧。

体は酩酊の如く。

意思もろくに持たないまま、気付けば無機質な場所に居た。



「ふむ、彼らが先日の三人ですな」

「はい。ナンバーネームは如何致しますか?」

「率直には決められないのでね……それはまた追いおい。さて」

初老の男と白衣の男が話している。


「早速だが検査から入ろうか。黒川さんからの子は?」

「443と445です。すみません、ナンバーをつける際見極めていなかったもので番号が飛んでいますが…」

「構わんよ……さ、あそこから来たのなら何かしら身体には反応があるはず。私も診るとしよう」



回りで何があったのかはよく、覚えていない。

ただここは研究所で、あの人達は研究員だ、という事だけ。


後日…名前は決まったらしい。


拜早と自分が妙な名前で呼ばれているのを聞いた……


ただ、それだけ。

あの人達の真意も意図も分からなかった。


< 250 / 361 >

この作品をシェア

pagetop