―ユージェニクス―
―1―
――夢を
見ている。
無駄に豪華さを押し出した、白いベッドの上。
そこにだらしなく倒れていた。
喘いだ後だから酷く疲れている。
そう、確か“疲れていた”。
これは過去の事。
感覚なんてそんなに覚えていない。
ただ気分は悪かった。
この場所で気分が良かった事なんてなかったけど。
「あーあ、もう使い物にならなくなっちゃったわ…逞しくないのねぇ、どうするのよ高城!」
紫の頭が見下ろしている。
峯、だ。
「ネ、こいつらあの研究所に売っちゃっタら?」
高城の姿は自分の視野の中に無い。
頭を上げる気力もない。
果てた体は人形の様。
「いいわねそれ!高く買い取ってくれるかも」
意識は朦朧。
体は酩酊の如く。
意思もろくに持たないまま、気付けば無機質な場所に居た。
「ふむ、彼らが先日の三人ですな」
「はい。ナンバーネームは如何致しますか?」
「率直には決められないのでね……それはまた追いおい。さて」
初老の男と白衣の男が話している。
「早速だが検査から入ろうか。黒川さんからの子は?」
「443と445です。すみません、ナンバーをつける際見極めていなかったもので番号が飛んでいますが…」
「構わんよ……さ、あそこから来たのなら何かしら身体には反応があるはず。私も診るとしよう」
回りで何があったのかはよく、覚えていない。
ただここは研究所で、あの人達は研究員だ、という事だけ。
後日…名前は決まったらしい。
拜早と自分が妙な名前で呼ばれているのを聞いた……
ただ、それだけ。
あの人達の真意も意図も分からなかった。