―ユージェニクス―
「うーわ爆弾居やがった!」
管原が大笑いしている。
「えっ何それ咲眞本当!?」

「さぁね…」

「そういえば咲眞あの時どうやって生活してたのよ」

「わっやっぱ本当なんだ!」

「あのね……」

「でも咲眞顔可愛いからきっと大丈夫よね!」
「そうなのよ!我が弟ながらあれはときめいたわ!」

女子が盛り上がる傍ら、管原は堪えきれていない笑いを腹に抱え机に突っ伏している。

「もしかして咲眞!ミニスカ履いたりし…」
「してないよ?」

「でも勘違いした拜早に抱きしめられたんだよなぁ」

「うん」

「え……っ」
茉梨亜が思わず拜早に振り向く。

「ちょっ話題に俺を巻き込むな!!」
「だって本当だもん」
咲眞の声色が黒い。

「そーなの!?やだわ拜早君!」
何故か棗は嬉しそうだ。

「拜早……」
茉梨亜の頬がほのかに赤くなっている。

「違う!意味は無い!何も無い!」

「意味無く抱きしめはしねーだろ…ヤベ俺涙出てきた」
笑いで。

「おまえらな…!」

「ていうか弾も女の子してた咲眞にキスしたじゃない」

「え!?きゃーウソ弾くんまじ!?ぎゃー嫌!!」

「嫌ってなんだソレ。いいじゃねーか減るもんじゃないし」

「前にもそれ言ってた気がするけど僕は何かが減った気がする」

「人生最大の汚点よねぇ」

「拜早もね、咲眞抱きしめちゃうなんて…!」

「ソーデスネ」

拜早なんかはテンションだだ下がりで、女子と管原は物凄く楽しそうだ。

「俺……なんでおまえぎゅってしたんだろ」

「自分の胸に聞いてみなよ……」

「……」
聞いてみたがよく分からない拜早。


「……」
はしゃぎながらも茉梨亜はそっと拜早を見やった。

抱きしめられたのがほんとに自分だったらな……と少し残念に思いながら。


「身長も僕の方があるのにね」

「そうそれ。俺とち狂い過ぎじゃね?」


「あ!俺様そろそろお仕事タイムー」

不意に管原が立ち上がる。

「棗も戻った方が良いぞ?」

「え?あ、あぁそうね」
棗も腕時計を見やり時間を確認した。


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