―ユージェニクス―
「……ばッッ」
「馬鹿かおまえは」
管原は理解が遅れるくらい驚き、勅使川原は容赦無い叱咤をした。
「仕方ないじゃない…どこやったか忘れたんだから」
「仕方ないじゃないだろう、どうせROMを傍らにカルテを漁ってたりしていたんだろう整理しろ塔藤」
「大体上からROM貰った時なんですぐパソコンにぶち込まなかったんだよ頭回ってるか塔藤!」
「やー俺にそんな口きくのは君達だけだよー」
二人が左右から畳み掛けても塔藤はあっけらかんとしている。
「おまえ班長がそんなんでいいと思ってるのかよ…」
流石の管原も塔藤のマイペースさには呆気に取られるものがある様だ。
「兎に角、この部屋の様子じゃすぐには見つからないだろう、上層階(うえ)に行ってもう一度貰って来たらどうだ」
勅使川原の意見に、塔藤はごもっともだという顔をしてすっくりと立ち上がった。
「そうだね、その方が早いか…」
塔藤は散らかり過ぎて自分の埋もれた机を見る。
そして入り口にある、白い布が被さったストレッチャーに視線を移し目を細めた。
「管原、ちょっと訊きたい事があるんだけど」
「なんだ、おまえも俺に質問か?」
思惑が感じられない少し微笑んだ表情で塔藤は管原を見る。
これは何か探ってるなぁ、と管原は思った。
「君、言ってたよね…被害者を手当てしたって。“マリア”を」
「ああ、マリア、だ」
「その“マリア”、まさか黒川のところの“茉梨亜”じゃないよね?」
「……ちがーう」
やや間があって、管原は答える。
「本当か?」
「俺が嘘をついた事あるか?」
「…………そうだね………信じるよ」
塔藤は目を伏せた。
管原は目だけで塔藤を見上げていた。
塔藤がぱっと顔を上げる。
「ま、新庄茉梨亜の事なら黒川邸に行けば解るんだけどね〜」
「やめとけ」
珍しく管原が真顔で止めた。
部屋が少しだけ冷たくなった。
「馬鹿かおまえは」
管原は理解が遅れるくらい驚き、勅使川原は容赦無い叱咤をした。
「仕方ないじゃない…どこやったか忘れたんだから」
「仕方ないじゃないだろう、どうせROMを傍らにカルテを漁ってたりしていたんだろう整理しろ塔藤」
「大体上からROM貰った時なんですぐパソコンにぶち込まなかったんだよ頭回ってるか塔藤!」
「やー俺にそんな口きくのは君達だけだよー」
二人が左右から畳み掛けても塔藤はあっけらかんとしている。
「おまえ班長がそんなんでいいと思ってるのかよ…」
流石の管原も塔藤のマイペースさには呆気に取られるものがある様だ。
「兎に角、この部屋の様子じゃすぐには見つからないだろう、上層階(うえ)に行ってもう一度貰って来たらどうだ」
勅使川原の意見に、塔藤はごもっともだという顔をしてすっくりと立ち上がった。
「そうだね、その方が早いか…」
塔藤は散らかり過ぎて自分の埋もれた机を見る。
そして入り口にある、白い布が被さったストレッチャーに視線を移し目を細めた。
「管原、ちょっと訊きたい事があるんだけど」
「なんだ、おまえも俺に質問か?」
思惑が感じられない少し微笑んだ表情で塔藤は管原を見る。
これは何か探ってるなぁ、と管原は思った。
「君、言ってたよね…被害者を手当てしたって。“マリア”を」
「ああ、マリア、だ」
「その“マリア”、まさか黒川のところの“茉梨亜”じゃないよね?」
「……ちがーう」
やや間があって、管原は答える。
「本当か?」
「俺が嘘をついた事あるか?」
「…………そうだね………信じるよ」
塔藤は目を伏せた。
管原は目だけで塔藤を見上げていた。
塔藤がぱっと顔を上げる。
「ま、新庄茉梨亜の事なら黒川邸に行けば解るんだけどね〜」
「やめとけ」
珍しく管原が真顔で止めた。
部屋が少しだけ冷たくなった。