―ユージェニクス―
―7―
あいつらはやってきた。
人掠いとして名高い、黒川邸の一味。
不覚にも三人で計画し作った城の前で、僕達は捉えられた。
黒川邸に連れ去られるという事は、即ちなぐさみものにされるのと同じ。
それを知っていた僕達は抵抗した。
けど
『これは、何…?』
それを面白がるかの様に黒川は
『誰の記憶…?』
茉梨亜を
『………やだ!』
僕達の大切な茉梨亜を
『やめて!!!!!』
このまま現実から逃げていていいの?
『………』
なにもかも忘れて、新たに生活を初めて、何もなかったかのように………
『うるさい!こんな現実、本当なんかじゃない!今あたしが生きているのが現実…!!』
そんな事をやっていれば、自分が背負う精神負荷がどんなものか分からない?
『茉梨亜が汚れる現実なんて信じない!!!』
………君はそんなやつだった?
君はやられたままで黙っている人間だった?
『………誰?誰なのあなたは!』
君だよ
自分の悲鳴を聞いて?
友達の悲鳴を聞いて?
動かなければならない。
真実を受け入れなければならない。
その時が近付いている。
きっと。
『わからない………わからないよ!!』
白の怪物に会えばいい……
拜早の、成れの果てに………