―ユージェニクス―
「きゃぁぁぁぁぁあ!!!!!!」
スラムの雑踏が喧騒へと変わる。
一人の女性の甲高い悲鳴に、茉梨亜は当然驚き振り向いた。
「なっ何!?」
物見さんで声のした方へと駆け出す。
青空は橙色へと変わりかけていた。
「ッ!?」
曲がり角を曲がると道端に女性が倒れているのが目に入る。
と、
「きゃっ」
茉梨亜は何かに当たった、女性の方から駆けて来た人物……
「(!! 白の怪物)」
それは白いパーカーを頭にすっぽりと被っていたが、背格好、気配が間違いなくあの夕立の日に出会った白の怪物だった。
白の怪物は茉梨亜の存在に気付かず、逃げる様にスラムの奥へと消え去る。
「あっちょっ…!!」
茉梨亜は思わず声が出るが、白の怪物を追うよりも倒れている女性へと駆け寄った。
「大丈夫!?」
女性は肩から血を流している。
傷の深さは分からないが、この出血量は凄まじい。
既に女性は気を失っていた。
「とっとにかく止血を…!!」
茉梨亜は羽織っていた薄手の上着を脱いで女性の肩口にしっかりと巻き付ける。
「なんだ!?どうした一体!」
悲鳴を聞き付けたスラムの人々も集まって来た。
同じく駆け寄ってきた男性に、茉梨亜は厳しい目で説明する。
「白の怪物よ!逃げたけどまだ遠くへは行ってないはず……」
言って、茉梨亜はすくりと立ち上がった。
「この人を診療所へ連れていってください!あたしは白の怪物を追う!」
「えっ!?ちょっとお嬢ちゃん!?」
茉梨亜は女性を男に預け、男の制止も聞かず白の怪物が逃げた方へ駆け出した。
(……白の怪物……関根拜早……!)
見つけた。現れた。
これで彼に問う事が出来る……
もう一人の茉梨亜の事を!
(あれ?)
なんであたしは“茉梨亜”の事をそんなに聞きたいの?
不意に茉梨亜に疑問符が浮かんだ。
走りながら、白の怪物を探しながら茉梨亜は自問自答する。
(どうして?なんで危険を侵してまであたしは“茉梨亜”の事を…………)
答えは浮かばなかった。
けれど、走っている足を止めようとも思わなかった。
直感……そう、直感のままに茉梨亜は白の怪物を追いかけていた。
スラムの雑踏が喧騒へと変わる。
一人の女性の甲高い悲鳴に、茉梨亜は当然驚き振り向いた。
「なっ何!?」
物見さんで声のした方へと駆け出す。
青空は橙色へと変わりかけていた。
「ッ!?」
曲がり角を曲がると道端に女性が倒れているのが目に入る。
と、
「きゃっ」
茉梨亜は何かに当たった、女性の方から駆けて来た人物……
「(!! 白の怪物)」
それは白いパーカーを頭にすっぽりと被っていたが、背格好、気配が間違いなくあの夕立の日に出会った白の怪物だった。
白の怪物は茉梨亜の存在に気付かず、逃げる様にスラムの奥へと消え去る。
「あっちょっ…!!」
茉梨亜は思わず声が出るが、白の怪物を追うよりも倒れている女性へと駆け寄った。
「大丈夫!?」
女性は肩から血を流している。
傷の深さは分からないが、この出血量は凄まじい。
既に女性は気を失っていた。
「とっとにかく止血を…!!」
茉梨亜は羽織っていた薄手の上着を脱いで女性の肩口にしっかりと巻き付ける。
「なんだ!?どうした一体!」
悲鳴を聞き付けたスラムの人々も集まって来た。
同じく駆け寄ってきた男性に、茉梨亜は厳しい目で説明する。
「白の怪物よ!逃げたけどまだ遠くへは行ってないはず……」
言って、茉梨亜はすくりと立ち上がった。
「この人を診療所へ連れていってください!あたしは白の怪物を追う!」
「えっ!?ちょっとお嬢ちゃん!?」
茉梨亜は女性を男に預け、男の制止も聞かず白の怪物が逃げた方へ駆け出した。
(……白の怪物……関根拜早……!)
見つけた。現れた。
これで彼に問う事が出来る……
もう一人の茉梨亜の事を!
(あれ?)
なんであたしは“茉梨亜”の事をそんなに聞きたいの?
不意に茉梨亜に疑問符が浮かんだ。
走りながら、白の怪物を探しながら茉梨亜は自問自答する。
(どうして?なんで危険を侵してまであたしは“茉梨亜”の事を…………)
答えは浮かばなかった。
けれど、走っている足を止めようとも思わなかった。
直感……そう、直感のままに茉梨亜は白の怪物を追いかけていた。