―ユージェニクス―
「…あいつ探してんのか?」
「あんな得体の知れねぇ奴に会うのなんか止めとけよ」
「それより俺達とつるもうぜ!」
「そうそうォマェ見た目より強そうだし!」

拜早の周りで口々に喋り出す彼らを縫って、リーダーの男が拜早を見下ろす。

「こう言ってる事だし、なぁどうだよ?」

(今度は勧誘かよ、脈絡ねえなぁ)

拜早は怪訝な顔をしてナイフを下げた。

「やだよ。俺はその金メッシュの奴と友達だし。それに大人数で居るのも好きじゃない」

踵を返して歩き出すと、男達は拜早を行かすように恐る恐る道を開けた。



「………」

「……なんなんすかね、あいつ」


「…白の怪物?」
「まさか!」

「…気にいらねえなぁ」

リーダーの男が毒づいた。

「やっちまいますか?!」
「いや」
「?」


「………やめとこう」
「なんでだよ?!」



「じゃあ俺はここで待ってるからおまえら行ってこいよ」


「………」

「………」

「………」



誰も行かなかった。



< 78 / 361 >

この作品をシェア

pagetop