―ユージェニクス―
咲眞は自分の左頬に手を優しく当てて呟く。
「あーあ、まさか拜早に思いっ切り殴られるとはねぇ……僕の美顔が」
「美顔って程でもねーだろ。人生のモラルの為だ」
毒づいた会話をしているが、実際そんな悠長な場合ではない。
「咲眞…分かったっつった手前、なんか方法はあるんだろうな?」
拜早の睨みつけをなんの重みにも捉えず、咲眞は当たり前だよという顔をした。
「僕がなんの解決方法もなくタイマーセットしてたと思う?」
「…おまえ…」
こんな事を言ってのけてくるという事は、正気に戻ったと理解していいのか。
しかし。
「ちょ…止まらないとか言ってたじゃねーか!」
「それはそれ、これはこれ」
「…オマエ」
咲眞は倒れていないまだ元気に起動しているパソコンの前に座り、適当にキーボードを引っ張って来て接続した。
「と言っても正直爆破は本気だったから解除方法は本体弄るしか無いんだよね、だから……」
ポチポチとキーボードを叩いて現れる画面は、既に拜早がそれを覗き込んだところで何の表示がされているのか分からないものだった。
「なんだこりゃ」
「爆弾の図面…ここから解除プログラムを作って遠隔操作で止める」
「プログラム作るって…今から?!後20分ねーんだぞ!」
「焦っても仕方ないよ、まぁ拜早はする事ないし昼寝でもしてて」
馬鹿にしてんのか…と拜早が思う程の相槌を打ちつつも、咲眞は落ち着き払ってディスプレイと向かい合った。
カタカタカタ……
『カタ』
ふいに、咲眞の指先が止まる。
「……拜早」
「…なんだよ」
拜早は言われた通りこれみよがしに昼寝をしようとしていた。
「…ごめんね」
呟かれた言葉。
拜早は目を丸くする。
そして咲眞に色々言いたいものが頭に沢山浮かんだが……
言うのをやめた。
咲眞も…解ってるはずだから。
「…咲眞」
「何?」
カタ……
「…俺も、ごめん」
「あーあ、まさか拜早に思いっ切り殴られるとはねぇ……僕の美顔が」
「美顔って程でもねーだろ。人生のモラルの為だ」
毒づいた会話をしているが、実際そんな悠長な場合ではない。
「咲眞…分かったっつった手前、なんか方法はあるんだろうな?」
拜早の睨みつけをなんの重みにも捉えず、咲眞は当たり前だよという顔をした。
「僕がなんの解決方法もなくタイマーセットしてたと思う?」
「…おまえ…」
こんな事を言ってのけてくるという事は、正気に戻ったと理解していいのか。
しかし。
「ちょ…止まらないとか言ってたじゃねーか!」
「それはそれ、これはこれ」
「…オマエ」
咲眞は倒れていないまだ元気に起動しているパソコンの前に座り、適当にキーボードを引っ張って来て接続した。
「と言っても正直爆破は本気だったから解除方法は本体弄るしか無いんだよね、だから……」
ポチポチとキーボードを叩いて現れる画面は、既に拜早がそれを覗き込んだところで何の表示がされているのか分からないものだった。
「なんだこりゃ」
「爆弾の図面…ここから解除プログラムを作って遠隔操作で止める」
「プログラム作るって…今から?!後20分ねーんだぞ!」
「焦っても仕方ないよ、まぁ拜早はする事ないし昼寝でもしてて」
馬鹿にしてんのか…と拜早が思う程の相槌を打ちつつも、咲眞は落ち着き払ってディスプレイと向かい合った。
カタカタカタ……
『カタ』
ふいに、咲眞の指先が止まる。
「……拜早」
「…なんだよ」
拜早は言われた通りこれみよがしに昼寝をしようとしていた。
「…ごめんね」
呟かれた言葉。
拜早は目を丸くする。
そして咲眞に色々言いたいものが頭に沢山浮かんだが……
言うのをやめた。
咲眞も…解ってるはずだから。
「…咲眞」
「何?」
カタ……
「…俺も、ごめん」