―ユージェニクス―
「ちょっと…何わけわかんない話してるの!」


前触れもなく高い声が入ったので皆瞬間の反応を示した。

「あ…?!」

診療室に闊歩して入って来たのは研究所事務員兼管原のお目付け役である…

「棗?!どっどうしてここに…」

「どうして?!時計見て自分で考えなさい!!」
管原に怒涛を浴びせ、驚いている少年達へと勢いよく振り向く。

「あなた達……」

「ど…ども…」
先に拜早が頭を下げた。
咲眞は逆に顔を逸らしている。

「……あなた達ッッ!」

棗は同じ言葉を発した。
どうやらかける言葉が無い裏返しの様だった。


咲眞が少し苦笑を含みながら目の端で棗を見る。

「…管原さんから聞いてるんでしょ?」
「…ええ!聞いたのは憶測だけど。まさか今またここで元の咲眞に会えるとは思わなかったわ…!!」

ちょっと…怒ってる?
少年二人が感じた事は当たっていた。

「もぅっ!正気に戻ってるなら言ってよ!!友達のお姉さんよ、実姉なのよ咲眞ー!!!」
なんかもう般若のようだ。

「ご、ごめん姉さんそこまで怒らなくても…」
姉の顔があまりにも人間離れしだしたので流石に咲眞も冷や汗ものである。
「まったく!弾が心配するなって言うからあえてスルーしてたけど!」

棗が指をさした先には腕時計を見ながら何を思い出したか勢いよく顔を上げる管原。
「棗ッ今日合同会議だった!!」
「気付くの遅すぎよ!!今回こそ準備してると思って来てみたらまたヒゲ…さっさと剃って来なさいッッ!!!」
凄い形相で棗は管原を洗面所へ追いやった。


管原がシェービングを探している音が聞こえる。


「で…咲眞、大丈夫なの?」
「な…何が?」

ジト目で棗は弟を見下ろした。

「色々!!なんか茉梨亜ちゃんになりきってるし精神混濁とか言われて私は貴方と普通に会話するも頑張ったのよ!苦しかったのよ?!!」
これは暫く止まりそうも無いなと二人は肌で感じる。


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