少女マンガ的妄想

エメラルドとライバル

午後8時

約束の時間に、流備は公園にいた。すると公園に一つだけの公衆電話が鳴りだした。

流備は躊躇する事なく、電話ボックスに入ると、受話器を取った。

「もしもし…」

「やっぱり来てくれた。しかも一人で。約束はちゃんと守ってくれる。紳士だね、ルビーは」

「エメラルド!どこにいる姿を見せろ!!」

「いいよ。後ろ見てみて」

流備が振り向くと、女の子が電話ボックスに背中を預け、もたれていた。

流備はすぐに電話ボックスから出ようとする。

「まって!約束だよ。捕まえないって」

その言葉に流備は思い止まり、そしてエメラルドのいる電話ボックスのガラス窓にもたれかかった。




「遠いな…」


「なにが?」


「もっと近いと思ってた。手を伸ばせば届く距離だって……
自信があったんだ。俺に出来ないわけがないって」


「うん」


「学校でも、ちやほやされて。市長にも認めてもらって。あのくそ親父にだって一人前だって思われてて…」


「そうだね」


「でも、お前を捕まえられなかった。今もこんなに近くにいるのに…」





「ねぇ…私の最終ターゲット、教えてあげよっか?」

「うん?」



「それはね…ルビーを手に入れること…」

「ルビーを?」

「それも、ただのルビーじゃない。情熱に真っ赤に燃える。私だけのルビー。
君は私の最終ターゲットなの。だから…」










「そうだな…こんなの俺らしくないな!わかった!!じゃあ約束しろ!これからも予告状だせ。それも俺に直接だ!!」

「ふふっいいよ」

「お前を捕まえるのは俺だ!!」

「うん」

「だから…だから他の奴になんか絶対捕まるんじゃねーぞ!」

「わかった」



「エメラルドのライバルは、このルビーだ!!」




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