戦国恋華×桜蓮月
「では聞く、なに用だ?」
「…我が嫁に蘭姫君を迎えたい」
辺りは暗く静まりかえる。
「蘭姫は国を離れないことは知っています。ならと思い、桜白城の王として婿に入りたい。我が軍には弟を継がせ同盟を組みませぬか?」
この言葉に皆が唖然し私は胸に突き刺さる痛みが全身に走った。
自分の国を弟に譲ってまで結婚したい意志が強く感じる。
「蘭、お主はどう思う」
父上が蘭姉様に質問するとあたりは注目を指した。
そして凛とした姿で答えた。
「はい…。和泉殿、同盟はとても良いとは思います。しかし結婚となれば話は別です。私は体弱さ故子供が産めませぬ。それでも夫になりたいと申されますか?」
王子にものをはっきりと申す蘭に少し驚き
軽い笑みを浮かべて言い返した。
「噂は聞いていました。…前に花の会で我が妹のかよの付添をしたとき、あなた様の微笑みに私は一目みて心底惚れてしまいました。それからはあなた様を忘れられなくなり、嫁に迎えたいと思ったのです」
その堂々とした言葉は蘭の固い表情を壊した。
「なんと嬉しき言葉を……しかし、我が軍は私の妹君、月に継がせようと思うのです」
「ほう…妹君に」
蘭が月のことを淡々と話していく。