戦国恋華×桜蓮月
腰から竹刀を抜くと、視線の先にいる和泉と同じ様に構える。
一騎打ちという真剣勝負はこれが初めてではないが
周りの静けさのせいか、妙な緊張感に包まれた。
研ぎ澄まされた冷たい糸が全身を貫いていくのを感じる。
二人の主審の合図と同時に走り出すと
和泉は一瞬で距離を縮め、月に刀を降りおろす。
「うっ!!!」
彼女はそれを受け止めるが、反撃する隙を和泉は与えない。
「どうしました!!月姫ーっ!」
二人が打ちあうたびに、足元の砂が舞う。
「あいつ、緊張で動きが鈍くなってるんだ!!」
助けたそうにしながらも、必死に応援している平時の横で
白、上総、烈火の三人はなにも言わずただ静かに見ていた。
あごに手をあて、髭を伸ばしながら難しそうな顔で父王がボソッと呟いた。
「おそらくこの試合……」