Opacity-不透明-
「お前、それ自分の?」
洸が梓を指差す。
「?…それ?」
梓は、何を言われてるか分からないため、聞き返した。
「そのTシャツ!」
洸がすこし照れながら言った。
その隣で笑いを噛み殺しきれない慧が肩を揺らしている。
「ぁあ、これ?私のだけど?塚、普通人にTシャツ借りないでしょ……?」
梓が笑う。
「ふーん」
洸が納得したようにいった。
「それが何か?…もう行きたいんだけど……?」
梓が笑った。
「ぁ…あのさ」
梓が行こうとしたとき、後から声をかけられた。
「まだ何かあるの?」
梓は、振り向いた。
「お前、結構趣味いいじゃん。似合ってる!」
真っ赤になりながらそう言ってうつむいた。
「・・・・ありがと。」
満面の笑みでそう答えた。



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