涙のアト
私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
けど私はその声に反応出来ずに、変わらず前を向いたまま…
「やっぱ佐伯じゃん! おーい!佐伯ぃ?」
だれ…?
私はしつこく話し掛けてくる声の主の方へ、ようやく顔を向ける。
……?……
けど今の落ちた私の顔とは正反対の、目の前にきたこの笑顔に見覚えはない。
「…誰、ですか?」
久しぶり出た私の声は自分の声とは思えない程、酷く、掠れていた。
「あ、やっぱ分かんない?
オレ、同じクラスの坂本 一輝(サカモト イツキ)」
「坂本…くん?」
.